糖尿病の合併症で障害年金を請求するポイント
糖尿病による合併症で日常生活に支障がでている場合には障害年金の対象となります。
ここでは、糖尿病による合併症で障害年金を請求するためのポイントや注意点を解説します。
糖尿病による合併症
血糖値が高い状態で何年も放置していた場合、血管が傷付いてしまい、糖尿病の合併症がおきてしまいます。障害年金では、血糖のコントロール状態そのものの認定もありますが、糖尿病の合併症に対しての認定も多くあります。以下、いくつかの合併症の例を挙げます。
糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症は、「眼の障害」の認定の基準によって障害の等級が定められます。
眼の障害の認定基準では、両眼の視力の和(眼鏡等での矯正後)が0.04以下だと1級、0.08以下だと2級となっています。また初診日に厚生年金保険に加入していた場合で両眼がともに0.1だと3級とされ、両眼が0.6以下または一眼が0.1になった場合には障害手当金とされています。
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症は、腎疾患の障害の認定の基準によって障害の等級が定められます。
糖尿病から慢性腎不全になり人工透析が必要になった場合は、人工透析と障害年金の記事をご覧ください。
糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害は、"激痛、著明な知覚の障害、重度の自律神経症状等があるもの"は、「神経系統の障害」の認定の基準となり、"長期間に糖尿病性の神経障害が持続するもの"は、3級程度に該当するとされます。
糖尿病性壊疽
糖尿病性壊疽で運動機能の障害が生じているものは、「 肢体の機能の障害」として認定されます。
初診日の特定が困難になることが多くあります。
糖尿病による合併症の場合、初診日の特定が困難になるケースが多くあります。
障害年金では糖尿病と合併症の間には因果関係があるとされ、糖尿病によって初めて医療機関を受診した日を初診日とされています。糖尿病による合併症の場合、長い期間を経て「糖尿病性網膜症」や「糖尿病性腎症」などに至ることも珍しくはありません。
これらの場合、糖尿病の初診日は数十年も前になることが多くあり、初診日の証明が取れない場合がでてきます。
初診日の証明は必要です。
障害年金は、「初診日」時点においてどの制度(国民年金・厚生年金)に加入していたか判断され、保険料納付要件を満たしているのか確認されます。そのため、障害年金の請求では「初診日」が非常に重要になります。
初診日の証明が曖昧なままで請求すると、「初診日不明」として却下されてしまう可能性があります。
障害年金を請求すれば認めてもらえるなどと安易に考えないようにしてください。
障害年金の請求で必要な書類(初診日の証明)
障害年金で初診日を証明する書類としては「受診状況等証明書」や「受診状況等証明書が添付できない申立書」があります。これらの書類は、糖尿病によって最初に病院に行った日を証明するための書類となります。
受診状況等証明書
初診から請求時まで同一の医療機関に通院している場合はこの「受診状況等証明書」は必要ありません。
この書類は、初診の医療機関と請求時に通院している医療機関が異なる場合に必要なものになります。
糖尿病による合併症で障害年金を請求する方の多くは、初診から請求時まで数十年経過していることや、糖尿病と合併症の診療科が異なっていることも考えられるため、「受診状況等証明書」が必要になる方が多いと思います。
受診状況等証明書が添付できない申立書
糖尿病による初診日が数十年も前にもなると、医療機関へ「受診状況等証明書」を依頼しても、カルテが廃棄されており記入してもらえない場合があります(カルテの保存期限が5年となっているため)
初診の医療機関でカルテが破棄されていた場合には、「受診状況等証明書」は書いていただくことができません。そのような場合には、転院した先の医療機関にカルテが保管されているかを照会します。
そこにもカルテがなかった場合には、次の転院先へと順次確認していきます。
最終的にカルテが残っている医療機関で「受診状況等証明書」を書いてもらいます。
カルテがなかった医療機関については、ご自分で「受診状況等証明書が添付できない申立書」を用意します。
受診状況等証明書が添付できない申立書で初診日が分かりますか?
「受診状況等証明書が添付できない申立書」をご自分で用意した場合、その医療機関を受診していたことが分かる客観的な参考資料、例えば、お薬手帳や診察券、保険調剤明細書などを探し、「受診状況等証明書を添付できない申立書」と一緒に提出します。
障害年金の審査をする者が、「参考資料」を見て、「この時期に」「この症状で」「医療機関を受診していたんだ」と納得してもらえるかをご自分で考えてみてください。
参考資料が何も用意されていない場合、「初診日」が認められることはほとんどありませんので注意してください。
初診日の証明が難しい場合
お薬手帳や診察券、保険調剤明細書などを探したけれど、初診日を客観的に証明できる資料がでてこなかったという場合もあります。そのような場合でも請求を諦めることなく、次のような方法ができないか考えてみましょう。
健康診断で糖尿病の異常を指摘された日
平成27年10月1日以降、「初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。」とされました。
しかし、これには例外があり、「初めて治療目的で医療機関を受診した日の受診状況等証明書が得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申し立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとする。」とされています。
つまり、健康診断の受診日を初診日として請求することも可能といえます。
医療機関で初診日の証明が取れず、客観的な資料も準備できない場合には、健診日を初診日として請求できないか考えてみましょう。
初診日が一定の期間にあることが確認できる場合
初診日を具体的に特定できない場合でも、参考資料により一定の期間内に初診日があると確認された場合には、一定の条件の下で、請求者が申し立てた初診日を認められることがあります。
例えば、糖尿病の発生時期とされる始期と終期を特定し、どちらの時期においても保険料納付要件を満たしているなどの要件を満たす場合には、初診日が認められる可能性があります。
>>初診日が一定の期間内にあると確認された場合の初診日確認の取扱いについて
第三者証明を取得できる場合
初診日となる時期に医療機関で診療を受けていたことを第三者(請求者の民法上の三親等以外の親族)が証明した場合には初診日を合理的に推定するための参考資料とされる場合があります。
・第三者証明を行う者が、請求者の初診日頃の受診状況を直接的に見て認識していた場合
・第三者証明を行う者が、請求者や請求者の家族等から、請求者の初診日頃に、請求者の初診日頃の受診状況を聞いていた場合
・第三者証明を行う者が、請求者や請求者の家族等から、請求時から概ね 5 年以上前に、請求者の初診日頃の受診状況を聞いていた場合
>>20歳前に初診日がある場合の第三者からの申立書 (第三者証明)について
>>20歳以降に初診日がある場合の第三者からの申立書 (第三者証明)について
ご不安な方は、障害年金の専門家へ相談しましょう。
実際に障害年金を請求しようとすると、障害年金に関する知識を抑えた上で様々な書類の準備をしたり、年金事務所へ足を運び煩雑な処理を正しい手順で進めていく必要があります。おそらく人生で1度しかない手続きで、慣れない手続きをするのは困難な場合が多いでしょう。障害年金請求に慣れた専門家に任せれば、確実な手順でサポートしてくれます。
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