変形性股関節症で人工関節となった場合の障害年金を請求するポイント
変形性股関節症などで人工関節が必要になった場合、障害年金の対象となります。
ここでは、変形性股関節症人工関節で障害年金を請求するためのポイントや注意点を解説します。
障害年金の認定基準では
変形性股関節症で人工関節となった場合、障害年金では次のように認定されています。
等級 | 障害の程度 |
---|---|
3級 | 一下肢の3 大関節中1 関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両下肢の3 大関節中1 関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの |
人工関節と障害年金の誤解
身体障害者手帳と障害年金の関係
股関節などに人工関節をそう入置換した場合、身体障害者手帳では4級以下に認定されていることから、障害年金の対象でないと誤解されていることがあります。
身体障害者手帳と障害年金は別の制度ですので、条件に合致した場合は障害年金を受給することができます。
障害年金では、人工関節をそう入置換した場合には、3級以上に認定するとしていることから、初診日に厚生年金の被保険者である場合には障害厚生年金を受給できることになります。
先天性のものとされていた場合
幼少時に関節の脱臼があり治療していた。
出生の際にすでに脱臼しており、1歳を過ぎても歩行しないのを心配した母親が病院に連れて行き股関節が脱臼していたことが分かった。
このような場合には、20歳前傷病として審査され、障害基礎年金の対象とされてしまいます。
しかし、幼少期に行った治療から再診時までに次のような期間が何年もある場合で①症状が消滅して社会復帰(就労など)や通常の日常生活が可能であり、②治療を必要とせず、外見上治癒した期間が一定程度継続していた場合には、再診時を初診日として障害年金が認められることがあります。
障害認定日は人工関節をそう入置換した日
人工関節の場合、障害認定日にも注意する必要があります。
通常、障害認定日は初診日から1年6カ月経過後となっていますが、人工関節をそう入置換したものについては、障害認定日は「そう入置換した日」となりますので注意が必要です。
・初診日から1年6ヶ月経過前に人工関節となった
すぐに障害年金を請求することができます。
請求せずに相当期間が経っていても、障害認定日時点の診断書があればその時に遡って請求も可能になります。
・初診日から1年6ヶ月経過後に人工関節となった
原則通り、初診日から1年6ヶ月経過した日が障害認定日となります。
1年6ヶ月時点で著しく日常生活に支障がでていない時には障害等級には該当せず、請求したときから障害年金を受給できることになります。
人工関節となっても障害年金を請求していない場合は、過去に遡っても受給できませんので、すぐに請求する必要があります。一か月請求が遅れれば一か月分の年金が受け取れないことになります。
障害年金の請求で必要な書類(初診日の証明)
障害年金は、「初診日」時点においてどの制度(国民年金・厚生年金)に加入していたか判断され、保険料納付要件を満たしているのか確認されます。そのため、障害年金の請求では「初診日」が非常に重要になります。
「受診状況等証明書」や「受診状況等証明書が添付できない申立書」は、変形性股関節症で最初に病院に行った日を証明するための書類です。
受診状況等証明書
初診から請求時まで同一の医療機関に通院している場合は「受診状況等証明書」は必要ありません。
初診の医療機関と請求時に通院している医療機関が異なる場合に必要な書類になります。
受診状況等証明書が添付できない申立書
カルテの保存期限が5年となっているため、初診日が5年以上前にある場合は、医療機関へ「受診状況等証明書」を依頼しても記入してもらえない場合があります。
初診の医療機関でカルテが破棄されていた場合には、「受診状況等証明書」は取得できません。そのような場合には、転院した先の医療機関にカルテが保管されているかを照会します。
そこにもカルテがなかった場合には、次の転院先へと順次確認していきます。
最終的にカルテが残っている医療機関で「受診状況等証明書」を書いてもらいます。
カルテがなかった医療機関については、ご自分で「受診状況等証明書が添付できない申立書」を用意します。
受診状況等申立書が添付できない申立書で初診日が分かりますか?
「受診状況等証明書が添付できない申立書」をご自分で用意した場合、その医療機関を受診していたことが分かる客観的な参考資料、例えば、お薬手帳や診察券、保険調剤明細書などを探し、「受診状況等証明書を添付できない申立書」と一緒に提出します。
審査側が、「参考資料」を見て、「この時期に」「この症状で」「医療機関を受診していたんだ」と納得してもらえるかをご自分で考えてみてください。
参考資料が何も用意されていない場合、「初診日」が認められることはほとんどありませんので注意してください。
障害年金の請求で必要な書類(診断書)
障害年金で使用する診断書は、「診断書(肢体の障害用)」になります。
事後重症請求では、年金請求日前の3ヶ月以内の病状が反映された診断書が1枚、障害認定日請求や遡及請求を行う場合は、障害認定日から3ヵ月以内の診断書が必要です。
障害年金の請求で必要な書類(病歴・就労状況等申立書)
初診日の証明ができ、症状が正しく反映された診断書を取得した後は、「病歴・就労状況等申立書」を記入します。
発病時から現在までの経過を整理し、年月順に記入していきます。
これには通院期間や入院期間、医師から指示された事項や就労状況や日常生活状況、受診していなかった期間はなぜ受診をしなかったのかなどを具体的に記入していきます。
診断書は現在の病状を表すもので、病歴・就労状況等申立書はこれまでの病状の経過を表すものと言えます。
この申立書には、日常生活でどんなことで困っているのかを記入する項目もあります。
小さなことでもいいので、できる限りの事を書きましょう。申立書の内容によって不支給になってしまうことや、等級が決まる場合もありますので、気を抜かずに丁寧に記載していきましょう。
変形性股関節症(人工関節)の障害年金をサポートした事例集
当事務所が担当させていただいた案件を一部ご紹介いたします。
» 変形性股関節症で人工関節になったの方の障害年金事例集
ご不安な方は障害年金の専門家への相談をしましょう。
実際に障害年金を請求する際には、障害年金に関する知識を抑えた上で、年金事務所へ足を運び煩雑な処理を正しい手順で進めていく必要があります。
特に変形性股関節症の場合で先天性のものとされる可能性がある場合、病歴・就労状況等申立書への記入は慎重に行わなければなりません。障害年金は複雑で一般の方には難しい点も多々あります。おそらく、一生に一度しかない手続きを、何度も年金事務所や病院に足を運び、初診日を証明するための書類や診断書の内容に間違いがないかなどを確認していくのは大変だと思います。不安や分からないことがある場合は、障害年金を扱っている法律の専門家(社会保険労務士など)に相談しましょう。
かなみ事務所(川西市)は、兵庫・大阪での障害年金の請求をサポートいたします
対象地域は大阪・兵庫(詳細はこのページ下の対応地域をご覧ください)で、無料相談や出張相談を承っております。その他の地域でも対応が可能な場合もございますので、お気軽にご利用ください。
» 障害年金請求サポート サービス内容と料金(川西、池田、豊中、伊丹など阪神・北摂全域)
» メールでのご予約・お問い合わせ
» お電話でのお問い合わせ TEL:072-746-9900
前後記事&カテゴリ記事一覧
- 前の記事:脳梗塞や脳出血の肢体障害で障害年金を申請するポイント
- 次の記事:知的障害・精神遅滞で障害年金を請求するポイント
- カテゴリ:肢体の障害