網膜色素変性症で障害年金を請求するポイント

網膜色素変性症が原因で視力や視野に障害が残り、日常生活に支障が生じている場合には障害年金の対象となります。
ここでは網膜色素変性症で障害年金を請求する場合のポイントや注意点を解説します。

網膜色素変性症の障害認定基準

目の障害

網膜色素変性症の障害認定基準は次のようにされており、それぞれの等級によって支給額が決まります。

※3級は障害厚生年金のみ 支給される障害年金額は等級別の障害年金の年金額をご参照ください。

等級 障害の程度
1級
  • 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2級
  • 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
  • 求心性視野狭窄又は輪状暗点のあるもので、Ⅰ/2の指標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの
  • 求心性視野狭窄又は輪状暗点のあるもので、両眼の視野がそれぞれⅠ/4の指標で中心10度以内におさまるもので、かつ、Ⅰ/2の指標で中心10度以内の8方向の残存視野の合計が56度以下のもの
3級
  • 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
  • 症状が固定しておらず、両眼の視力が0.6以下に減じたもの
  • 症状が固定しておらず、一眼の視力が0.1以下に減じたもの
  • 症状が固定しておらず、両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
    ※両眼の視野が10度以内のものとは、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、両眼の視野がそれぞれⅠ/4の指標で中心の残存視野10度以内におさまるもの
    ※症状が固定している場合は障害手当金となります。

障害年金の請求で必要な書類(初診日の証明)

障害年金は、「初診日」時点においてどの制度(国民年金・厚生年金)に加入していたか判断され、保険料納付要件を満たしているのか確認されます。そのため、障害年金の請求では「初診日」が非常に重要になります。

「受診状況等証明書」や「受診状況等証明書が添付できない申立書」は、網膜色素変性症となって最初に病院に行った日を証明するための書類です。

受診状況等証明書

初診から請求時まで同一の医療機関に通院している場合は「受診状況等証明書」は必要ありません。

初診の医療機関と請求時に通院している医療機関が異なる場合に必要な書類になります。

網膜色素変性症で障害年金を請求する方の多くは、初診から請求時まで数十年経過しているため、請求時の医療機関と初診時の医療機関は異なっていると思います。このため、受診状況等証明書が必要になる方が多いと思います。

受診状況等証明書が添付できない申立書

カルテの保存期限が5年となっているため、初診日が5年以上前にある場合は、医療機関へ「受診状況等証明書」を依頼しても記入してもらえない場合があります。

初診の医療機関でカルテが破棄されていた場合には、「受診状況等証明書」は取得できません。そのような場合には、転院した先の医療機関にカルテが保管されているかを照会します。

そこにもカルテがなかった場合には、次の転院先へと順次確認していきます。

最終的にカルテが残っている医療機関で「受診状況等証明書」を書いてもらいます。

カルテがなかった医療機関については、ご自分で「受診状況等証明書が添付できない申立書」を用意します。

 審査側は、その受診状況等申立書が添付できない申立書で初診日が分かりますか?

初診日分かりますか

受診状況等証明書が添付できない申立書をご自分で用意した場合、その医療機関を受診していたことが分かる客観的な参考資料、例えば、お薬手帳や診察券、保険調剤明細書などを探し、「受診状況等証明書を添付できない申立書」と一緒に提出します。

障害年金の審査をする者が、「参考資料」を見て、「この時期に」「この症状で」「医療機関を受診していたんだ」と納得してもらえるかをご自分で考えてみてください。

参考資料が何も用意されていない場合、「初診日」が認められることはほとんどありませんので注意してください。

初診日を客観的に証明できる資料は…

障害年金の請求で初診日を認めてもらうためには、初診日を客観的に証明できる資料を探す必要があります。

例えば次のような資料が残っていないか探してみましょう。

参考資料 取得先
身体障害者手帳申請時の診断書 診断書を作成した医療機関 市役所または都道府県庁の障害福祉課
生命保険診断書 生命保険会社 ※初診日頃に生命保険を請求している場合など
診療録 受診状況等証明書を作成した医療機関
診療報酬明細書 健康保険協会や健康保険組合

これら以外にも初診日を証明できる資料がないか根気よく探しましょう。

「初診日」が曖昧なまま、障害年金を請求することのないようにしてください。

障害年金の初診日に関する調査票

網膜色素変性症で障害年金を請求する場合、初診日に関する調査票(以下、「アンケート」)の提出を求められることがあります。

このアンケートには、「幼少期に家族から又は学校の健康診断等で何かいわれて医療機関に行ったことはないか」、「視力が落ちてきたことに気づいた時期」、「中学卒業頃から数年の視力の数値(分かる範囲での)」など、幼少期に医療機関を受診したことはないか確認するための資料となります。

幼少期に具体的な症状が出現し、医療機関を受診していたなら20歳前に初診日のある障害基礎年金での請求となりますが、それが成人以降の場合で、初診日に厚生年金の被保険者であった場合には障害厚生年金での請求となります。

厚生年金で請求する場合、アンケートや病歴・就労状況等申立書によって初診日が幼少期になかったのか確認されることになりますので慎重に記入する必要があります。

症状が悪いということをアピールしたいあまり、幼少期から視力が特別に悪かったという、事実とは異なるようなことを記入することは意味がありません。

初診日を特定できる参考資料がない場合

初診日を特定できる資料ない場合、次のような方法が可能か考えてみましょう。

健康診断で異常を指摘された日

平成27年10月1日以降、「初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。」とされました。

しかし、これには例外があり、「初めて治療目的で医療機関を受診した日の受診状況等証明書が得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申し立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとする。」とされています。

つまり、健康診断の受診日を初診日として請求することも可能といえます。

医療機関で初診日の証明が取れず、客観的な資料も準備できない場合には、健診日を初診日として請求できないか考えてみましょう。

初診日が一定の期間にあることが確認できる場合

初診日を具体的に特定できない場合でも、参考資料により一定の期間内に初診日があると確認された場合には、一定の条件の下で、請求者が申し立てた初診日を認められることがあります。

例えば、傷病の発生時期とされる始期と終期を特定し、どちらの時期においても保険料納付要件を満たしているなどの要件を満たす場合には、初診日が認められる可能性があります。

>>初診日が一定の期間内にあると確認された場合の初診日確認の取扱いについて

第三者証明を取得できる場合

初診日となる時期に医療機関で診療を受けていたことを第三者(請求者の民法上の三親等以外の親族)が証明した場合には初診日を合理的に推定するための参考資料とされる場合があります。

・第三者証明を行う者が、請求者の初診日頃の受診状況を直接的に見て認識していた場合

・第三者証明を行う者が、請求者や請求者の家族等から、請求者の初診日頃に、請求者の初診日頃の受診状況を聞いていた場合

・第三者証明を行う者が、請求者や請求者の家族等から、請求時から概ね 5 年以上前に、請求者の初診日頃の受診状況を聞いていた場合

>>20歳前に初診日がある場合の第三者からの申立書 (第三者証明)について

>>20歳以降に初診日がある場合の第三者からの申立書 (第三者証明)について

障害年金の請求で必要な書類(診断書)

障害年金で使用する診断書は、「診断書(眼の障害用)」になります。

事後重症請求では、年金請求日前の3ヶ月以内の病状が反映された診断書が1枚、障害認定日請求や遡及請求を行う場合は、障害認定日から3ヵ月以内の診断書が必要です。
>>障害年金の請求方法と適用される時期

網膜色素変性症の場合、視野障害で請求する方が多いと思います。

視野障害の場合は、診断書上部のI/4(1の4)の指標と下部のI/2(1の2)の指標が必要です。

視野検査の際はI/4やI/2以外にも検査があり、それらを等感度曲線に描かれるため、間違った指標で診断書が記載される可能性もあります。

診断書を取得した際はI/4とI/2での指標なのか確認した方が良い場合があります。

障害年金の請求で必要な書類(病歴・就労状況等申立書)

「病歴・就労状況等申立書」とは、これまでの病気の経緯を初めて受診をした時から現在までの状況を、途切れることなく記述するものです。

また、診断書では記載されなかった、日常生活において不便を感じていることなどを審査側に伝えることができる書類です。分かりやすく丁寧に記載することを心掛けるようにしてください。

病歴・就労状況等申立書の内容によって不支給になってしまうこともありますので、丁寧に記載していきましょう。

>>病歴・就労状況等申立書の記入方法はこちらからご覧ください。

面倒な請求は、専門家に任せてしまうのも一考です

障害年金を請求するためには、様々な書類の準備や手続きが必要です。それぞれの書類にはチェックしておきたい項目がいくつもあります。初診日の証明ひとつでも、カルテの保存期限(5年)を超過している場合には初診日の証明ができないこともあります。そういった時には次の転院先の医療機関で証明が取れるのか。仮に取れたとしても、先の医療機関の初診日に関する記載はあるのかなど…

おそらく、一生に一度しかない手続きを、何度も年金事務所や病院に足を運び、初診日を証明するための書類を揃えていくのは大変だと思います。また、慣れない書類の準備や請求の手続きをするのは困難な場合も多いでしょう。

そんな時は、確実な手順で障害年金の請求手続きを進めてくれる専門家に依頼することをオススメします。

かなみ事務所(川西市)は、兵庫・大阪での障害年金の請求をサポートいたします

対象地域は大阪・兵庫(詳細はこのページ下の対応地域をご覧ください)で、無料相談や出張相談を承っております。その他の地域でも対応が可能な場合もございますので、お気軽にご利用ください。

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